“うつ病”も人によって症状は様々かと思うが、私の身体に起きた症状を紹介。私はこれまで3回ほど、うつ病を発症して休職したが身体に現れた症状や変化は毎回少しづつ違った。
認知機能の低下
1回目の発症時は、管理職に就いて”サビ残地獄”の生活を続けていた時だった。ブラック企業の社畜だった私は、毎月100時間を超える残業で慢性的な睡眠不足は自覚していたが、身体は健康だった。
ところが、ある日から集中力や記憶力が全く続かない事が多くなった。それは日毎に酷くなり、日中に記憶が飛ぶという事が起き始めた。トイレの便座で着いてから気が付くと1時間が過ぎていたり(スマホの無い時代)、デスクで書類作成していると気が付けば2時間くらい経っている。その間の記憶も、アウトプットも無い。
単純な忘れ物も増えていき、新しい情報や指示などは頭に入らなくなった。
体力の低下
体調に異変を感じ始めたが「きっと睡眠不足が原因だから、そのうちに回復するだろう」と思っていた。衰えた能力をカバーするために時間と体力を使うようになり悪循環に陥った。また、上司や同僚には相談を出来る関係性の人間が居なかった事も拍車をかけた。
そして体力も限界を超えた時、仕事中に眩暈がして社内で倒れた。その後は病院に運ばれたが特に異常は見当たらず、原因不明の体調不良は続き、いくつかのクリニックを転々としていたところ、私の様子を心配してくれた他部署の部長に診療内科を勧められた。
不眠、情緒不安定
うつ病と診断されてから、半年ほど休職した。休職直後から不眠になった。時間はいくらでも有るはずなのに全く眠れない。「この病気は治るのだろうか?」という不安に襲われて眠れなくなる。更に、その”眠れない事”を不安に思ってしまい悪化して、しばらくは睡眠薬が無いとツライ状態だった・
情緒も不安定になった。気分が沈んだり悲観的になる事が増え、お見舞いに来てくれた同僚との食事中、急に泣き出してしまう事もあった。そして勃起不全にも陥り、男としての自信や楽しみを失い、激しく落ち込んだ。
左半身に痺れ、顔面麻痺
2回目の発症時は、両親の介護に加えて娘の育児も始まった時だった。休日や夜間出勤が多く休みも少なく、家を空ける事が多いせいで、産休明けの妻がメンタル不調に陥り、私に辛く当たってくるようになった。
妻へのフォローにも気を遣い出すと、私のストレス許容量が超えた。夜中なると一人で泣いていたし、妻の前で泣き出す事もあった。身体にも異変が現れ、左半身全体に痺れを感じ始めた。特に顔面麻痺が顕著で、顔が勝手にピクピク動いたり、口に含んだ飲み物をこぼしてしまう事が増えた。
そしてある日、仕事先で立ち上がれなくなってしまう事があり、その後に休職を申し出た。
神経痛
3回目の発症は、同居する母の終末介護している時だった。左手に神経痛が現れた。最初は針に刺されたような痛みや痺れを指先だけに感じていたが、徐々に痛みの強さが悪化していき、腕や肩にまで広がった。
この神経痛は”うつ病”が寛解した後も続いている。自動回路のような仕組みが出来上がってしまい、何かしらの精神的ストレスを感じると、すぐに左手にチクリと痛みが走る。不思議なことにストレスだけではなく、感動や喜びなどポジティブな感情でさえも心が大きく動くと痛みを発症するようになってしまった。
サイレン恐怖症
介護中は、母が困った時に助けを呼べるように、家庭向けのナースコールを設置した。設置当初の呼び出し頻度は1日に数回程度だったが、ガンが脳転移して痴呆症が進むと、食事やトイレに行ったこともすぐに忘れ、5分後にまた同じ用事で呼び出すといった事が増えた。昼夜の時間も分からなくなり、一晩で数十回も呼び出されるようになった。
毎晩何度も鳴り響くアラーム音のせいで、まとまった睡眠を取ることが出来ない日々が2週間も過ぎると、アラーム音に恐怖を感じるようになった。次第に身体も反応するようになり、アラーム音を聞こえる度に心臓がギュッと締め付けられるようになった。
字が書けない
休職中の時間を利用して勉強をしようとしたが、上手くは行かなかった。活字をスムーズに読む事が出来なくなっており、読めたとしても頭にインプット出来なかった。このような症状は以前にもあったのだが、ちょっとしたメモでさえも字が書けない事が起きた。
漢字が思い出せない事は健康な時でも日常茶飯事だが、平仮名が思い出せない。書こうと思っている文字と全く違う文字を書いてしまう。1つの単語に、平仮名とカタカナとアルファベットを混ぜて書く。という事が続いたので、勉強は中止した。
これらの経験を通じて
3度のうつ病発症で共通しているのは、不眠と不安だった。一方で、身体的に現れる症状は毎度異なっていた。これらの経験を通じて、自分の体調やメンタルを客観視できるようになったと思う。今後の予防策として”出来るだけストレスを受けないように生きること”をモットーにして生活している。
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