★★★☆☆ 2019 フランス 監督:カンタン・デュピュー 出演:ジャン・デュジャルダン、アデル・エネル
あらすじ
妄想に取り憑かれた男。鹿革のジャケットを愛し過ぎる余り、自分以外の人間がジャケットを着用することを許せなくなった…。
感想
「前代未聞のファッションスリラー」というキャッチコピーなのだが、確かにその通りだった。こんな映画は今までに見たことない。
タイトルから予想されるモノとは全く異なる内容で「なにこれ?」とモヤモヤするが、気になって最後まで見続けてしまう不思議な映画だった。
珍しくて面白かったが、万人にはオススメしない映画。
スリラー映画ではなく不条理コメディー?
中盤から次々と殺人を重ねる主人公。映画にありがちな「いかにもシリアル・キラー」みたいな恐ろしい人物ではなく「たまに街や電車で遭遇するリアルなヤバい奴」という具合の壊れっぷり。殺人の快楽や苦悩は全くなく、まるでゴミ拾いのように淡々と作業を進めていく様子は新鮮だった。ちょっとしたゴア描写はあるものの、どこか滑稽で間抜けな雰囲気に包まれているので怖くない。それどころかクスリと笑ってしまう。
「これは笑って良い映画なのか?」と思ったが、ポスターの「お前が着るな!、俺がキル!!」という一文を見て安心して吹いた。
呪いのアイテム?
序盤から怪しげな主人公だったが、鹿革のジャケットを手に入れて身に纏うようになってから壊れ具合が加速する。酒場で女性達に声をかけるシーンから妄想癖が露わになり、次第には愛するジャケットと会話するようになった。
これらの妄想や幻覚は、主人公が元から抱えていた疾患によるものと思っていた。ところが彼の死後、助手の女性がジャケットを引き継ぐところを見ると、もしかしてジャケット自身が意思を持つ”呪いのアイテム”だったのかな?という解釈も生まれた。
帽子、ブーツ、ズボン、手袋、次々と鹿革のアイテムが増えていく過程は、ロール・プレイング・ゲームで最強装備を揃えていくような高揚感を覚えるw。
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