ブラック・フォン

映画

★★★★★ 2022 アメリカ 監督:スコット・デリクソン 原作:ジョー・ヒル 出演:イーサン・ホーク

公式サイト

あらすじ

1978年。コロラド州郊外の町では誘拐事件が続いていた。その被害に遭った主人公は、殺された被害者の霊たちに助けを借りて脱出を試みる…。

感想

少年主人公 + 郊外の町 + 連続誘拐犯 + 不思議な力+イジメ・虐待 =?

「スティーブン・キングじゃん!」と、思ったら原作小説はその息子だった。キング映画が好きな私にはブッ刺さる設定で、それらを充分に活かした演出と展開だった。ただのホラー映画ではなく、友情・努力・勝利といった少年マンガらしさも感じさせる、しっかりと作り込まれた傑作。

誘拐されるまで

学校でイジメに会う主人公の少年。その彼を救う不良少年との友情。不思議な力に悩む妹との兄弟愛。父親からの暴力。行方不明になった少年たちのニュース。それらの映画前半に描かれるシーンの殆どが、誘拐後からラストまでの布石となっている。2度目に見た時も無駄と思えるシーンが無くて感心した。

「少年達に忍び寄る犯人の黒いバン」というシーンが何度か登場するのだが、小学生の子供を持つ自分としては、これが最もゾッとするシーンだった。

誘拐されてから

地下室に監禁はするが、食事も与えて手は出さない犯人。犯人には独自のルールがあり、被害者との間にガマン比べのような駆け引きが続く。それが、より変態染みていて不気味さと面白さが増している。このルールが分かるまでは、何をされるか分からないハラハラした時間が続いた。

妹側のサイド・ストーリーも良い。兄を探すために、虐待する父親と対話する展開も気に入った。夢(回想?)の中で二人が交差する展開が熱い。

黒電話

監禁部屋に設置してある『壊れた黒電話』は、映画タイトルにもなっている重要アイテム。この電話を介して死者から情報を聞き出して最後は武器にもなるのだが、ホラーの演出としても有能だ。静かなシーンに突然「ジリリーン!」と大きな着信音が鳴り響く。音で驚かせるホラー映画は不快だが、この作品では必然性が有るので全く気にならない。それどころか、この不気味な着信音が鳴るたびに、恐怖と期待が同時に訪れる不思議な感覚を覚えた。

犯人の「俺も昔、一度だけ鳴っているのを聞いたことがる」というセリフが気になる。そのエピソードについては映画内では触れられないが、犯人自身もこの部屋に監禁されていたのかも?と想像し、暴力や虐待が連鎖する恐ろしさを感じた。

原作者はスティーブン・キングの息子

前述の通り、設定や構成要素はスティーブン・キングの作品に共通している部分が多い。しかし、伏線を効かせたスマートなストーリーなので、キングの影は鑑賞途中から薄くなった。”トンデモ理論”や”ぶっ飛んだ変人”など、キング作品に感じる「ちょっと理解し難い奇妙で不思議な設定や展開」が無いためである。

とは言え、終盤シーンで妹が着ている黄色レインコートを見れば「IT」を思い出すし、死者が現れて指で何かを示す絵面も既視感のあるモノで、やはりキング作品へのオマージュを感じた。

次回作

今秋には次回作が公開予定。期待をして予告動画を観たのだが、同じ監督なのに作風が違い過ぎるw。イヤな予感しかしない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました