両親は年金未払いだった
私の両親は商店の個人事業主だったが、国民年金を納めていなかった。「どうせ長生きしないから」という父の考えで、母も結婚後が未納だったそうだ。数年前にこの事実を聞いたとき、とても頭が痛い思いをさせられた。
父が脳梗塞で倒れて店を畳むことになり両親の収入は無くなった。「子供に迷惑をかけないよう、貯金でなんとか暮らしていける」と母は言っていたが、近い将来に貯金が底を着いたら私が経済的にも面倒を見なければいけないな…と悩んだ。
具体的な貯金額は明かさなかったが、「父の治療費や介護リフォームで1000万円ぐらい使った」とも言っていたり、父の死後から母が時々お金の心配を口にするようになったので、私の不安は年々募るばかりだった。
それから徐々に、電気、水道、電話などの固定費用は私が負担するようになっていった。
終活で銀行口座を引き継いだ
母がガン告知されてから終活を始めた時、初めて母の銀行口座を確認した。残額は1年分程度の生活費しか残っていなかった。その数ヶ月後に母が亡くなり、毎月の生活費と診療費、葬儀費用などを引いたら、銀行預金は殆ど残らなかった。ギリギリだったが「子供にお金の迷惑はかけたくない」という言葉を実行して母は逝った。
家の土地は借地のため(建物は私達夫婦の名義で建築・負担)、相続する様な資産は他に無い。私以外の相続人である姉にも説明すると納得していた。もしも何かゴネたりしたら最悪の場合、多少のお金を払って縁を切ってやろうかとも考えたが、そのような事態にはならずに済んだ。
老人ホームの祖母は存命
父方の祖母が存命だ。大正生まれでもうすぐ100歳を迎えようとしているが、15年ほど前に認知症が進み老人ホームへ入居している。昨年お見舞いに行った時は、起きているが話かけても反応しない状態だった。
両親が亡くなった事により長男である私が祖母の後見人を引き継いだ。老人ホームの月額費用も私が負担している。祖母の年金と公的補助金のおかげで比較的に少ない負担で済み、なんとか入居を続けられている状態だが、毎月数万円の出費は懐が痛む…。
経済的不安=心理的な不安
おおそ10年間、両親の生活費の心配は大きな心理的負担だった。いつまで続くか分からないし「ゴール=親の死」となるから、それを望む気分にもなれない。心労が重なり辛い時には「いっそ、この手で…」という考えが頭をよぎった事も何度かあった。
近年では「日本の年金制度は将来、破綻する(あるいは既にしている)」という説もあるが、受給額が少なくても無いよりはマシなので、子どもの負担を軽くするために支払いはしておくべきと思う。

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