怪談師

YouTube

夏の風物詩とも言える『怪談』。ホンモノの幽霊は苦手だがホラー映画や怪談は好きで、怪談は高校生ぐらいからTVやラジオよく聞いていた。

時代は流れ、TVからオカルト番組が姿を消すと、怪談はネットで聞くことが主流となった。数年前までは怪談をテーマにしたYouTubeチャンネルやポッドキャストを頻繁に聞いていたのだが、次第に違和感を覚えて離れてしまった。

それは『怪談師』という肩書きを、よく耳にするようになってからである。

大量のオカルト系コンテンツ

オカルトはネットと親和性が良いせいか、沢山のコンテンツが溢れている。私が子供の頃はオカルトといえば「心霊現象」か「UFO」だったが、現在は多様化しており「人怖」「都市伝説」「陰謀論」「スピリチュアル」など、他のサブジャンルも盛んだ。当然、YouTubeにも沢山のチャンネル・動画が存在している。「階段」と検索しても「怪談」の動画がオススメされる程だ。

それだけ大きなコンテンツになれば当然、出演する人物も多くなる。怪談といえば稲川淳二が現在も有名だが、昔は桜金造、なぎら健一などのタレントがTVで披露していた。現在は一般職の人からYouTuber、お笑い芸人など、多くの人間により大量の怪談が披露されている。

そうなると当然、質が低いモノも増えるのだが、私は特に『話術』が気に障り始めて、怪談コンテンツから気持ちが離れた。

内輪で盛り上がってる感

勢いのあるコンテンツがある程度の規模に達すると、次に起こりがちなのが「権威化」。「XX賞」とか「XXグランプリ」といった賞レースを設けて業界内で競わせる。そこで優勝した人やモノを、外部の人間に「スゴイ」と思わせる手法の一つである。

怪談界にも色んな賞レースが出来ていた。いくつか視聴してみたが、話者のレベルが低くて最期まで見ていられないモノもある。素人の話を数十分も聞き続けるのは苦痛に感じた。

また、有名な怪談師をゲストに呼び「あのXXサンにお越し頂きました!」とか「あの話を聞かせてくれるんですか?」という調子で持ち上げる場面を見かけるようなって、辟易している。

怪談師とは?

怪談を語ることを商売にする人を指すようだが、残念ながら「怪談師」と名乗る人ほど、話が上手い印象がない。中には噺家のマネをして着物を着て、口調もマネる人もいるが、きちんと話芸の訓練をしていない人は寒々しくて見ていられない。

この「怪談師」という名称が立派すぎて、落語家・講談師・活弁士といったような「喋りのプロ」を連想させ、こちらの期待値を上げてしまう気がする。トークだけではなく、収集や創作、興行、演出など多岐に及ぶ仕事をしているようなので「怪談ディレクター」が丁度良いのかもしれない。

それでは「怪談師」を自称しない人達はというと…。

お笑い芸人・タレント

人前で喋るプロなので話が上手いと思いがちだが、そうではない者も多く感じる。売れない芸人がヘタなのは当然だが、売れっ子でも怪談においては聞いていられないモノがいる。お笑いのトークと同じ調子で喋るからだと思う。自分のライブやラジオ番組のフリートークみたいにダラダラ喋るのは嫌いだ。また、パーソナリティや司会者と会話しながら話を進めるタイプも苦手。特にコンビ芸人は一人で喋り慣れてないのかな?。相槌が邪魔に感じてしまう。

少しジャンル違いだが、ベテラン俳優の怪談が面白いパターンもある。演技の素養があるから聞かせ方が上手い。

落語家

落語コンテンツで「怪談」することあるが、怪談コンテンツに現れる人は少ない。高い水準を維持するためか、新作・創作の提供頻度も少ない印象。”噺家”と言うだけあって話芸は一番上手い。だけど平場のトークになると面白くない人もいる。

プロじゃないのに面白い人

「あの〜」や「え〜と」が多かったり、喋りは決して上手ではないのに、不思議と話が面白い人がいる。天性の才能か、単に私の波長と合うだけなのだろうか。飾らない普段の話し方が、友達の話を聞いているようで疲れず聞けるのかもしれない。人気が出てから話し方を意識して変えて魅力が無くなる残念な人もいる。

懐古主義ではないが…

怪談ブームは確実に起きた。人口増加と競技化によって全体的に面白さのレベルは上がったが、『話術』については下がっている気がする。

最近は怪談を聞きたくなると、昔のTV番組を探して視聴している。当時は絶大な影響力を持っていたTVでは、かなり厳選して練り上げた話を披露していたのであろう。私が一番好きだった怪談番組は、タモリ倶楽部の怪談回。怖さも笑いも両方楽しめた。

そんなタモリ倶楽部を愛する”伊集院光”。彼が創作した怪談は超有名。元落語家なので話も上手い。本人は心霊の類は全く信じておらす、ロジックで創作したという逸話が面白い。

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