★★★★★ 1993 アメリカ 監督:ハロルド・ライミス 出演:ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル
あらすじ
テレビのお天気キャスターのフィルは、小さな町へ取材に訪れる。適当に仕事を済ませて帰ろうとするが、吹雪に襲われたことをきっかけに、永遠に同じ日が繰り返されることになり…。
感想
タイムループ映画の代表作でありながら未視聴だったので、どんなものかと見てみたら、とても面白い!。
タイムループの謎解きや脱出をするのではなく、無限に繰り返す1日(=人生)を充実させることを追求するストーリーには、少し大袈裟だが生きる希望を貰った。まるで「アバウト・タイム 愛しい時間について」を観た時のような教訓と満足感を得られた。
「現在は過去の積み重ねの上にある」という言葉があるが、その教訓をタイムループによって得られるのが面白い。
登場人物たち

TVの取材クルーである主人公フィル達と、街の住民達が登場する。ループ回によっては出番が無くても背景に紛れていたりする事があるので、それを探すために何回も見返したくなる仕掛けが用意されている。ストーリのかなり後半で登場するピアノ教師が、実は序盤で登場していた事に気づいた時は嬉しくなった。
登場頻度の多い人物の出番を、私なりに数えて下の表にまとめてみた。まだまだ気が付かない出番が有るのかもしれない。なお、表にあるループ回数は便宜上決めたものであり、劇中では少なくとも10年分程度のループを経験しているであろうとピアノの上達具合から察する。

タイムリープ考察
この映画では、主人公がタイムループに陥った原因については、全く説明がない。解決・脱出に至った説明も無い。だが、それは無くて正解だ。それが分かってしまうとループから脱出することが目的になってしまい、主人公の行動や映画から受ける教訓も変わってしまうからだ。
劇中で分かっているルールは、以下のことだけ。
- 同じ1日を無限に繰り返す
- AM6:00にリセットされる
- 主人公しかタイムループを繰り返していない
- 死んだとしても、AM6:00に目が覚めて生き返っている
祟りや呪いの仕業を示唆するような事もなく、唐突に発動する。何度(何十年?)もループを繰り返した結果、街の住人をハッピーにして意中の女性からの愛を手に入れた翌朝にループから解放されたが、それも唐突だった。
強いて原因を挙げるとすれば「利己的な主人公に対する神様の罰」という説を考察する。超次元の存在が作中に登場しているとすれば、主人公が浮浪者のおじさんに親切したことから慈愛の心が芽生えて行動も変わり始めたので、この浮浪者が神様的な存在と捉えることもできるが、私はホテルのバーカウンターでグラスを磨く黒人のオジサンではないかと思う。

- 白人だらけの街にいる黒人
- 目線と表情だけでセリフは無し
- ループ1日目では、独りで飲む主人公を見つめて呆れている。
- ヒロインのリタを誘う主人公を見て、微笑む。
- ループ最終日では、主人公ではなくTVカメラマンを見つめて呆れている。
- ストーリーにおいて、主人公の行動に絡むことは無い
たったこれだけの事だが、印象を残す人物なので何かしらの意図を持って登場させていると思う。想像を膨らますと主人公の次は同僚のTVカメラマンが無限ループに突入したのかもしれない。もしかしたら、この街の全員がそれぞれ異なる無限ループを繰り返し、許された者から解放されているのかもしれない。


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