2023 オーストラリア 監督:コリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズ 出演:デヴィッド・ダストマルチャン ★5.0
あらすじ
1977年、人気が低迷していた深夜の生放送バラエティ番組。起死回生の策としてハロウィーンのオカルト企画に、悪魔が憑いていると言われる少女をゲストに呼び・・・。
感想
とっても面白かった。大きな期待を胸に劇場へ足を運び、見事それに応えてくれた大満足の作品。こんなにワクワクしながら映画を観たのはいつ以来だろうか。1,300円で観たけど、5,000円は出しても良いと思える近年最高のオカルト映画。
映画冒頭に、劇中の舞台である架空のTV番組と司会者の歴史が紹介されるのだが、全く説明臭くなく、その部分だけですぐに世界観に入り込めた。そしてその内容がしっかりフリになっている。
物語が始まると、劇中TV番組の視聴者と同じ映像を観る形式になるのだが、4×3サイズの画面、粗いフィルム画質、生演奏のバンド、達者な司会者、生放送らしいテンポに観覧客や番組企画、など70年代当時の雰囲気満点。特にバンドの演奏する音楽が私の好みでカッコ良く、劇場で観て良かった。生放送のハプニング直後は演奏の方にも影響するという細かい演出もGood。
最初に登場する番組ゲストの『霊媒師』。これがまた本物かイカサマか分からない良い塩梅の胡散さで、次のゲストと展開に大きく期待を膨らませる最高の1番バッター。
次のゲストである『元催眠術士』という肩書きも持つ『オカルト研究家』。超常現象には否定的な立場から、番組(=映画)を盛り上げてくれる。
そして真打である『悪魔の憑いた少女』と『その保護者兼研究家』。少女の雰囲気も実に絶妙で、不気味過ぎず、普通過ぎずの良い塩梅。
映画終盤になると「どうやって終わるのだろう?」と気になって仕方がなかったが、「まぁこれしか無いだろう」というクライマックスとオチで、ショービジネスへの皮肉と自戒めいた内容を含めつつ、気を衒わずにキレイに終わった印象。
オカルト映画に付き物の超常現象の演出についても凝っており、これまた1980年前後の映画に用いられたような特殊効果を再現しているようで、観ている者をニヤつかせてくる。少しだけ登場する派手なゴア描写では『スキャナーズ』とか『遊星からの物体X』のようでなんだか懐かしく、発光現象では『サイコ・ゴアマン』のようにレトロなSFXを思い出させる。
特殊効果の他にも、『エクソシスト』などの過去映画のリスペクトやパロディを感じる点が随所に有り、それらを一つ一つ探すのも楽しそう。何故か私は、病室にいる坊主頭の奥さんが登場するシーンで『ヘルレイザー』を思い出したw。
オマケ
オーストラリア映画が盛り上がっているらしい。次は『トーク・トゥ・ミー』を観てみる。
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