両親の死後、遺産と呼べるようなモノは無かったので相続の争いはなかったが、遺品整理を巡って速やかに行いたい私と、思い出に浸りたい姉の間に、摩擦が生じた。
我が家は玄関から全て完全分離した2世帯住宅で、建築当初から父母が亡くなった後には空いた部屋をリフォームして賃貸住宅にする計画だった。そして両親が亡くなった時、私は休職中で収入の不安があり、まだまだ住宅ローンの支払いも残っている状態だったので、出来るだけ早く計画を実行したいと考えていた。
姉の方から「遺品整理をやらせて欲しい」と言っておきながら、遅々として進まない状況に苛立ちを覚え、一体どうするつもりなのか尋ねると「私も近々、引越する予定だから、それまで置いといて欲しい」と言い出した。その言葉の中には、あわよくばこの部屋へ引越そうとする魂胆も見えたので「もう不動産業者との契約が決まってるから無理」とすぐにハッキリ断った。
その後、いくつかの荷物は姉のマンションへ運んだが、全ての荷物が部屋に入り切らなかったので私の家に預かることになった。「もうすぐ引越す」と言っておきながら、結局1年以上預かる事になった。途中で「やっぱりアレはいらないから捨てていいよ」とか言い出すので、廃棄処分料はキッチリ請求した。
他にも姉にイライラする事がいくつかあったが、その中でも取り返しのつかない事が1つあった。生前の母から「老人ホームに居る祖母が亡くなったときは、棺桶でこの着物を着させてあげて欲しい」という言伝があった。その着物を古い箪笥に保管していたが、私のいない間に姉が箪笥の中身を全て物色して紛失していた。後で気が付いてから「ここにあった着物どこやった?」と聞いても「え?もう分からない」と答えが返ってきて落胆。
こんな調子で振り回されるのはイヤなので、普段から姉とは少し距離を置いている。もしも、姉と2世帯住宅に住むことになっていたら私のストレス原因になるし、妻にも気を使わせる事になっていただろう。
さらにその後、姉の新居が決まり預かっていた荷物を届けに行くと、男の人と同棲している事が分かり、少しホッとした。
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