ぼくのエリ 200歳の少女

映画

★★★★★ 2008 スウェーデン 監督:トーマス・アルフレッドソン 出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション

あらすじ

いじめらっこの少年は、隣の家に越して来た少女・エリに興味を持った。街では失踪や殺人が起こり始めると、エリの正体がバンパイアと気が付く。

映画『ぼくのエリ 200歳の少女』予告編
2010年7月上旬より銀座テアトルシネマほか全国順次公開スウェーデンのスティーヴン・キングこと、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのベストセラー小説を映画化した異色ラブストーリー。孤独な少年がバンパイアと初めての恋に落ち、戸惑いながらもその...

感想

いじめられっ子の少年とヴァンパイア少女の恋愛モノなんだが、予告動画のような”美しく切ない初恋”などではない。原初の西洋童話のような血生臭さい描写や設定があり、北欧の白い風景に真っ赤な血が画面に映える。思いも付かないような真実、斬新な人体損壊描写、希望と破滅を予感させるラストシーン、ホラーの枠に収まらない複雑な気持ち呼び起こす映画だった。

「モールス」というタイトルで、アメリカでリメイクもされた。公開当時に劇場で見たが、あまり印象がない。熱心なクロエ・モレッツのファンで無ければオリジナルの方を薦める。

タイトルに偽りあり

副題の「200才の少女」に騙された。まぁ騙されたおかげで面白くなるのだが…。

主人公がエリの着替えを覗くシーンで、性器にボカシ加工がされた映像が一瞬だけ映る。それを見て驚く主人公。これがとても重要な意味を持つのに、初見で理解できた人はいないだろう。ボカシの無しの海外版を見た人による解説サイトを頼らないと分からない。私も鑑賞後、しばらくしてから「男性器が切断された跡」だったという情報を知って驚き、映画を見直した。

主人公はただ性器が見得て驚いただけだと思ってしまうと、その後の物語の感じ方まで変えてしまうので、もう少し見せ方を工夫して欲しいと思った。

最後のプールのシーンが斬新

いじめっ子たちに水に沈められた状態の主人公に映像が固定されたまま、水中に浸る身体の一部分だけの描写で、水上で起きていることが十分に想像できる映像演出がある。これを最初に見た時、とても驚いた。今でも見返すことがあるほど、お気に入り。記憶が定かでないが、確かリメイク版でも同じ演出がされていた気がする。

恋人ではなく従者

映画の最後は、主人公とエリが駆け落ちするようなシーンで幕を閉じる。棺の中からモールス信号を使って会話する様子は仲睦まじいカップルのように見えるが、そうではない。

映画前半でエリと行動していた父親と思っていた人物は、人間の血液を食料とするエリのために殺人を繰り返す従者で、自分の身がバレそうになれば顔を薬品で焼いてから自殺するような献身的な男だった。主人公はその男の後継になった。

まだ若くて可愛いらしい少年も、ゆくゆくはエリのために人を殺し、年を経てオッサンになり、最後は哀れな死を遂げる、そんな未来を容易に想像する。さらには、エリが主人公に近づいたりイジメから守ってやったことも、彼への愛情からではなく、新たな従者にするための行動だったと考えると、主人公が可哀想でやりきれない。

コメント

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