いよいよ新築工事が始まることになり、まずは古い家の解体工事準備を進めた。
2代続いた家業を廃業
実家では祖父の代からお店を営んでいた。父が病気後も母が一人で続けていたが、住宅建替を機に廃業することにした。私も学生の頃は仕事をよく手伝っていたが、私が就職する年頃には売上げも厳しかったので、店を継ぐという選択肢は無かった。商店街の通りに面した立地なのだが、周りの商店も次々と廃業してスッカリ住宅街に姿が変わるつつある。
沢山の思い出と感謝が詰まった店だが、主人が居なくなり閑散とした店内の様子を見ても、不思議なほど寂しい気持ちは湧かなかった。産廃処分や片付けなど、沢山やることが残っているのでノスタルジーに浸る時間は無かった。
引越し
両親には工事中の仮住まいへ引越してもらった。仮住まい専門の仲介業者からは、実家近所の物件を紹介してもらったのだが、母が「ここはXXさん家の近くだからイヤ」など様々な注文を言い出し、なかなか決まらなかったので、数駅離れたマンションへ引越して貰った。高齢の両親にとって引越し作業はかなりの負担だったが、なんと終わった。
そして、姉とその彼氏も引越しが終わった後、忘れ物を取りに完全な無人となった実家へ寄ってみた。電気も点かない薄暗い家の中を、土足で注意深く踏み入れると、既に廃墟っぽい雰囲気が漂っていた。ほんの数日前までは人が住んでいたのに…怖い。

庭に沢山の鉢植えが残されていたので、手間のかからなそうなサボテンを一鉢だけ私の住むマンションへ持ち帰った。

解体工事
解体作業を着手すると早速、解体業者から連絡があった。廃棄物の量が想定よりも多いので追加費用が請求するとのこと。家業の産業廃棄物も多かったので、ある程度は予想していたが、商店街の街灯に付いているスピーカーが我が家のモノと判明して撤去することになったり、ブロック塀が現在の規則に適合せず加工作業を依頼したり、姉達がゴミや不要品を全く処分しないで出て行ったり、想定外のハプニングも多かった。
数日後、仕事の移動中に解体作業の様子を見に立ち寄ると、道路から私の使っていた部屋が丸裸になって見えていた。また数日後、妻と家の様子を見に行くとスッカリ建物の形はなくなっていた。沢山の廃棄物が残っていたが、もうすぐ終わりそうな雰囲気。
生まれ育った家が壊される様子を見ても、寂しい気持ちはまるで無かった。むしろ待ち遠い。母も同じようなことを言っていた。
コメント