★★☆☆☆ 2004 アメリカ 監督:ピーター・ハイアムズ 出演:エドワード・バーンズ、キャサリン・マコーマック、ベン・キングズレー、デヴィッド・オイェロウォ、コーリイ・ジョンソン 原作:レイ・ブラッドベリ
あらすじ
タイムトラベルが実現した2055年、タイム・サファリ社は白亜紀の恐竜狩りツアーを大ヒットさせていた。しかし、ツアー中にトラブルが生じ、6500万年分の時間の波が現代に影響を与え始める。
感想
劇場公開当時、Z級SF映画のような稚拙なCGにガッカリした作品だったが、いま改めて見るとチープさに味わいが出てきた。特に大型猿とトカゲが合体したような生物は絶妙なキモさで、奴らの生態系に興味が湧いてくる。
ブラッドベリ原作の短編小説を長編映画用に話を膨らませてるので、いかにもハリウッドらしい大味なアクション映画になっている。しかし、過去への干渉結果が「時間の波」という形で段階的に押し寄せてくる設定は、なかなか面白い。
もっと予算をかければ面白い作品になったのでは?…と思える色々と惜しい作品。
登場人物

小悪党の社長と役人、気難しい天才科学者、小心者の問題客、主人公を行かせる順次犠牲になる同僚、どいつもこいつも典型的な役割と性格で主人公も同様。深掘りしたくなるような人物は1人もいない。
見所を強いて挙げるならば、ハットンの顔芸だろう。いかにも軽薄で拝金主義の社長なのだが、考えている事が手に取るように分かりやすい表情がコミカルで面白い。後半シーンの水に沈んだ死顔でも少し笑ってしまった。
タイムトラベル考察

タイムトラベル仕様
- TIME SAFARI社が開発したタイムマシン『TAMI』で過去へ行く事ができる。
- タイムマシンは据置型で、収容した人間や物資を転送する。
- ワームホールが開くと浮遊する通路が出来て、転送されて者はその上を歩いて移動し、通路を出てはいけない。
- タイムマシンを商業利用して、実物の白亜紀の恐竜を狩るツアーを行なっている。
- 過去の事象に変更を与えると、現代へも影響が現れるので、タイムトラベルの際には監督局から派遣された役人が同行して監視している。
- 過去を変えてはいけない。過去に無い物を持ち込んではいけない。過去から何も持ち帰ってはいけない。というルールを守るために、厳しいチェック体制が施されている(はずだった)。
- 狩猟の対象になる恐竜は、直後に死ぬ運命である個体を選定しており、攻撃にも氷の銃弾を使用して、過去への干渉を最小限にしている。
- 転送中の様子はホロディスクに録画している。
過去を変える事によるリスクは把握しており、厳格な規制に基づいて利用しているようだが、やる事が観光ツアーというのが可笑しい。しかも実際はザル運用で呆れる。現実の仕事でも”慣れ”や”独断”が事故に繋がるケースが多いので、その点はリアルとも言える。

物語のプロットはシンプルで「過去の事象に干渉したことにより歴史を変えてしまい、再び過去へ戻り修正する」という王道パターンだ。しかし、上映時間の大半はサバイバル・アクションになっているので、タイムトラベル映画としての面白味は欠ける。そもそも原作は、歴史修正せずにタイムトラベルから帰還した者のブーツに蝶の死骸を見つけた所で終わるので、無理もないか。そういえばタイトルである「雷のような音」の意味も映画では回収していない。
感想でも述べたように『時間の波』という演出が面白い。歴史が上書きされるまでの段階的な変遷を描くのは、他の作品では見かけないし原作小説にもない設定だ。過去の事象を変えると、まず”IFの世界”のシナリオが出来上がり、その後に現実世界を段階的に書き換えている事になる。これは結構、画期的な演出だと思う。
TVドラマの思い出
公開当時、なぜ劇場へ足を運んだかと言うと原作小説を知っていたからだ。しかし小説自体は読んでおらず、TVドラマ版を強烈に覚えていた。確か土曜日の深夜にテレビ東京系で「怪奇の館」と言う海外ドラマが放映しており、当時中学生の私は「ギルガメッシュナイト」を見るため夜更かしをしていたら、このドラマに出会った。
懐かしくなって調べてみると、日本国内ではソフト化や配信はされていないが、YouTubeにUPされている物を見つけた。やはりコチラの方が断然好みだ。

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