肝試し

16歳の頃の話。

学校の先輩が車を購入して、夜のドライブに付き合う事が時折あった。いつもはドライブしながら他愛もない会話をして車内で過ごすだけだが、夏休み中のある日、ひょんなことから「肝試し」をすることになった。

その日のメンバーは、先輩♂、私♂、後輩♀、後輩♂の4名。地元では有名なお寺の一角に広い墓場があるので、そこを散歩してみる事になった。2名づつの2組に分かれようとジャンケンをした結果、先輩と私ペア、後輩ペアに分かれた。余談だが当時、後輩♀に少し気があったので残念な結果だ。私たちペアが先行し、最後は隣接する公園で待ち合わせる事にした。

オバケ屋敷は経験があったが、リアルな肝試しは初体験。夜中の墓場の雰囲気は想像以上に恐ろしく、風で揺らいだ葉音など、ちょっとした物音でビビっていた。しかし、その墓場には私の家のお墓もあるため馴染みのある場所で、いざとなれば御先祖様が守ってくれるだろうと思っていたので、さほど恐怖心はなかった。

結局、何も起こらず墓場を通り抜けて公園に到着した。真っ暗な墓場と違い、公園は時計塔に灯があったので少しホッとした。後輩達が見つけ易いように時計塔の下で到着を待っていると、すぐ近くの植栽の茂みから「ガサガサッ!」と物音がした。

物音のする方を振り返って注目していると突然、茂みの中から大きな物体が姿を現した。茂みの中から現れたのは180cm以上ある白人男性で、そのままダッシュで走り去って消えた。あまりに突然だったので私は驚いて腰を抜かしてしまい、その場にしゃがみこんだまま暫く立てなくなってしまった。

私にはハッキリ見えたのに、一緒に居た先輩は全く気が付かなかったと言うから不思議。後輩ペアが到着する頃には復活して立ち上がれるようにはなったが、失禁しなくて良かったと心の底から思った。帰りの車内で、この体験を後輩達に話しても信じてもらえず、なんとも不満が残る肝試しだった。私の見た白人男性は何だったのだろうか?。

ちなみに、このお寺は数年後、境内のライブカメラに霊が映っていたと心霊界隈で話題になっていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました