娘はまだサンタクロースを信じている。と思っていたが、今年はいつもと様子が違っていた。
例年は12月に入るとサンタ・クロースへの手紙を書いていたのだが、一向に書く気配がない。年末に近づくと人気のオモチャは品薄で手に入れ難くなるので、プレゼントを手配する立場としては早く希望を聞いておきたかった。だから手紙を待たずに口頭で希望のオモチャを聞き出しておいた。
ところがクリスマスの1週間前、娘が突然「やっぱりプレゼント変える!」と言い出した。当初に希望していたオモチャは、既にブラック・フライデー・セール期間に買ってしまっていたので「急に変えるとサンタさんも困っちゃうよー。他に欲しいものがあれば正月にパパが買ってあげるから。」と言ってなだめると納得した様子だった。
イブの前日、夕食中にママが「今年はサンタさんへ手紙を書かかないの?」と聞いた。すると娘は「パパがサンタさんにお願いしてくれたんでしょ」と答えた。この時点で『もしかしてサンタの正体に気付いているのか?』と思い始めた。パパママ仲間の体験談を聞くと、プレゼントをもらうために気が付いていないフリを続ける子供もいるそうだ。
イブの夜、寝る支度をしてベッドに向かう直前になると「やっぱりサンタに手紙を書く!」と言い出して、慌てて書き始めて、クリスマス・ツリーの根本に置いていた。急に不安になったのだろう。娘を寝かしつけてから手紙の内容を確認すると、希望のオモチャは用意してあった物だったのでホッとした。しかも「安いヤツで良いです」と書いてあったので、子供ながら健気だなと感じたが、やはり気が付いてるか?という疑念は払拭できなかった。

私の子供時代は、家庭にクリスマスという風習が無かった。自営業が年末は多忙だった事と、季節行事に関心が無い両親だったためだ。その代わりにお正月にオモチャを買ってもらえるという習慣があったの文句は言わなかった。しかし、毎年12月にクラスメイト達がサンタクロースの話題をしていると、寂しい気持ちになった。ある年のクリスマス・イブの晩、試しにプレゼントを入れるための靴下をリビングの一角に吊るして寝た。翌朝、当然プレゼントは無かった。サンタは居ないと分かっていたが、仄かな期待は破れて現実を突きつけらた気持ちになり、朝から号泣した記憶がある。サンタが実在する事を夢見たわけではなく、両親が何か用意してくれる事を期待していたのだ。普段から両親にオモチャやお菓子をネダる事はしない子供だったのに、その日だけは不満や寂しさが爆発してしまった。娘には出来るだけ長くサンタ役を演じてあげたい。

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